遺言の効力はどこまで認められる?弁護士が遺言書のポイントを解説!

遺言とは?

遺言書の効力のポイントは弁護士まで

遺言とは、遺言者の生前の最終の意思を表した書面のことです。

遺言では、自分名義の財産について、誰に何を相続(承継)させるか、自由に決めることができます。

遺言書でできることは?

民法で定められた要式に従っていれば、遺言にどのようなことを書くかは基本的に自由です。

遺言を作成すると、法定相続分と異なる割合で相続させることも可能となります。

例えば、遺言書がなく法定相続に従い相続することになれば、妻と長男、次男が法定相続人の場合、法定相続分は、妻1/2、長男1/4、次男1/4となります。

しかし、遺言を作成しておけば、例えば、妻1/4、長男1/2、次男1/4というように、法定相続分と異なる割合で相続分を指定することができます。

また、遺言を作成すると、分割方法を指定することもできます。

遺言がなければ、遺産分割の割合が決まっても、遺産を構成する個々の財産の帰属を決めるために、別途相続人間で協議が必要となります。しかし、遺言を作成し、例えば、不動産は長男に、預貯金は次男に相続させる等、帰属させる財産の具体的な内容を記載しておけば、このような不都合を回避することが可能となるのです。

さらに、遺言を作成すると、特定の遺産を、相続人以外に取得させることも可能となります。

遺言によってのみ可能となる法律行為とは?

以下の事項については、遺言に残すことで初めて法的効力を持つことが可能となります。以下は一例になります。

  • 婚外子を自身の子であると法的に認めること(死後認知)
  • 自身の死後に、全財産または特定の財産を誰かに与えること(遺贈)
  • 相続人の資格を剥奪(「廃除」といいます)すること、または、生前の廃除を取り消すこと
  • 遺産分割の方法を決めること
  • 遺言の内容に書かれている手続を実行する人(「遺言執行者」といいます)を指定すること

これに対し、「兄弟が仲良く暮らしなさい」、「借金はしないように」というような内容は、「付言事項」といい、法的効力は持ちません。

遺言の効力はいつから?

遺言は、遺言を作成した人が死亡した時から効力を生じます。

遺言に有効期限はありませんが、遺言者は、新たに遺言を作成し直すことにより、以前の内容を自由に変更し、全部又は一部を撤回することができます。

したがって、遺言を作成した後に、作成当時と考えが変わった場合、新たに遺言を作成することによって、以前の遺言の内容を変更、撤回することができます。

無効と判断されない遺言の書き方は?

遺言は、民法の定める方式に従ってなされたときだけ有効となり、その要式に従っていない遺言は無効とされます。そのため、遺言は厳格な要式行為であると呼ばれています。

厳格な要式が要求されるのは、遺言は、死後に効力を生じる意思表示であることから、遺言の存在と内容をはっきりさせておき、遺言者の真意を確保し、後の偽造を防止するためです。

無効と判断されないために、遺言が備えるべき厳格な要式とは次のようなものです。

1 自筆であること

パソコンや代筆を利用することはできず、全文を自筆で記載する必要があります。ただし、財産目録の部分のみ、パソコンを利用したり、通帳等の資料を添付することが認められています。

2 日付を入れること

作成日付を自筆で入れなければなりません。年月だけで、日がない記載がないものも無効となります。

3 署名、押印があること

作成者の署名、押印が必要となります。印鑑は必ずしも実印であることを要せず,認印でも構いません。

4 訂正や加筆の方法

書き損じを訂正したり、内容を付け加える加筆をする場合の方式も決まっています。

訂正する場合は、訂正箇所に二重線を引いて近くに押印し、余白に二字削除などと、訂正文字数を記載し、署名することが必要となります。また、加筆する場合は、加筆したい部分に吹き出しで加筆内容を挿入して押印し,余白に二字加筆などと、加筆した文字数を記載し、署名しなければなりません。

このように、遺言は、厳格な要式が定められているため、無効とならないよう、作成時には十分に注意することが必要となります。

もっとも、公正証書遺言については、公証人が職務として作成するものであるため、要式違反で無効となることはほぼ考えられません。

したがって、遺言を作成するのであれば、公正証書遺言を作成するのが安全といえるでしょう。

弁護士による遺言作成サポート

公正証書遺言を作成するにあたっては、どのような遺言を作成したいのか、公証人と打ち合わせを行うことが必須となります。

その際、公証人から、上述した遺言の形式面についてではなく、内容面について法的な問題点の指摘を受けることがあります。

したがって、公正証書遺言を作成する場合でも、法律の専門家である弁護士に相談、依頼した上で作成することが最も確実であるといえます。

以上のように、遺言は厳格な要式行為であるとされている特性上、作成にあたり、細心の注意が必要となります。

当事務所では遺言作成サポートを行っております。遺言書の作成をお考えの方は、是非一度ご相談されることをお勧めいたします。

 

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