財産使い込みで困っている

預金の使い込み(使途不明金)がある場合について

相続財産の調査を行ったところ、被相続人の生前の収入や生活ぶりに比べて預金残高が著しく少なく、不自然だと感じられることがあります。

このような場合、金融機関の過去の取引明細(取引履歴)を入手し、被相続人の生前、被相続人の預金口座からどのように入出金が行われていたかを確認してみるべきでしょう。金融機関にもよりますが、多くの場合、過去10年間の取引履歴を入手することができます。
数十万円以上の預金が短期間に頻繁に引き出されていたり、被相続人が認知症等のため老人ホームで生活しており自身で預金の管理をすることができない状況にあるにもかかわらず、多額の現金が引き出されている場合などには、他の相続人による預金の使い込みが疑われることがあります。

ただし、預金の使い込んだ疑いのある相続人に対しこれを主張するためには、当該相続人が被相続人の通帳やキャッシュカード・印鑑を管理しており、被相続人の預金を引き出しやすい状況にあったことを説明できることが必要になります。

 

他の相続人による預金の使い込みが疑われる場合、相続人間の遺産分割協議において、預金を使い込んだ疑いのある相続人に対し、使い込んだ金額を遺産に戻すよう求め、遺産に戻された金額を相続財産に合算して遺産分割を行うよう主張することになります。

もっとも、その相続人が預金の使い込みを認めるケースは稀で、自分は使い込みについては全く関与していない、とか、引き出した預金は被相続人のために使った、といった反論がなされ、当事者だけで協議しても平行線に終わることが多いです。
そのような場合、遺産分割調停を起こし、裁判所に協議の仲介をしてもらうことが考えられますが、調停もあくまで話し合いですので、その相続人が使い込みを認めなければ、使い込みが疑われる金額を相続財産に戻した上での分割協議は難しくなります。

最終的には、その相続人が使い込んだ金額を不当に利得したとして、不当利得返還請求訴訟という裁判を起こすことも検討しなければなりません。

このように、相手方が使い込みを認めていない場合には、相手方の反論に対する有益な再反論の内容や、調停で協議する際の落とし所、裁判での勝訴可能性など、戦略的に検討することが重要となります。しかし、戦略的に検討を加えることは、法律問題の専門家である弁護士でなければ難しいでしょう。

相手方との交渉が上手くいかずお困りの方は、弁護士に依頼することで有利な解決に導くことも可能ですので、是非一度ご相談ください。